患者とは喉元すぎれば熱さを忘れるもの

プロゴルファー34歳女性、左手次指と中指がしびれて上腕に痛みが走るという。右腰も前屈で痛み張りを訴える。
1診目、まず右腰の前屈痛に対し、左の魚際に金鍼30番で補うと速効ありで痛みはなくなった。次に左手次指に対し(大腸経)右足の太溪(腎経)に補法を加えると痺れが和らいだ。手指のしびれは頸椎からの場合がほとんどであるがやはり督脈に対してアプローチする必要がある。
頸を後屈させると「いてっ!」とおもわず顔をしかめた。定則通り「左手後谿―右足申脉」の奇経診断で脉締となった。その時点で痛みしびれは90パーセントなくなったという。本治法は右からの肝虚肺虚証であった。

2診目、右腰の事は何も言わず未だ左手がしびれて痛むという。患者というのはわがままである。治ってしまうと忘れている。
あれだけの前屈痛が当初あったにもかかわらず、「未だ痺れが治っていない」などという。何年も他施設かかりながら治ってないものを1、2回で治ると思っている。
今回は根っこに手を加えようと考え、頸椎の7・胸椎1・2・3を圧診断すると身柱が反応、次いで大椎に反応があったので、身柱穴に気刺鍼の③で痺れ7割減った。さらに督脈上反応点の気刺鍼の②、大椎に気刺鍼の①を行った段階で痺れ痛みは消失していた。素晴らしい!
その後、本治法を座ったまま行い終了した。証は言うまでもない、子午拮抗関係から奇経診断で明確である。

以下、患者としてのサイト管理人の私感です。
治療されるほうが、どのような治療によってどのような変化があったのか、ということをきちんと説明していただくことは患者にとってこそありがたいことなのです。次回に同じ症状があった場合、前回はこのような治療で治ったな、と学習できるからです。症状の因果、どのような症状がどのような治療によって改善したか、ということの説明に言葉を尽くしていただくことはたいへんありがたいのです。めんどくさいかもしれませんが。結果だけでは治癒のありがたさがなかなかわからないのですよ。患者が喉元すぎれば状態になっている場合は、釘をさしていただけるとありがたいです。あなたを治したのは自分の治療、自分の技術であるのだよ、と。
初出:2016/05/11

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