詳説:ステロイドを1年飲み続けても治らなかった耳鳴り

では、こちらで軽く触れました耳鳴りの症例の詳説です。
が。
困った、残された手がかりは(手がかりて!)これだけ。
アキイラジ右全合
合ー申左
治療に立ち会ってないので、カルテに残されたこの11文字を解読しなくてはなりません。
説明しよう!!(タイムボカン

葛野代表が修行をした東洋はり医センターでは
肝→ウ
心→イ
脾→ラ
肺→ル
腎→ア
と、されていました。患者さんに肝とか聞こえてはよくない、という配慮かららしいです。

アキイラジ右全合

ア→腎
キ→虚
イ→心
ラ→脾
ジ→実
つまり
腎虚心脾実証右から
用穴は全部合水穴 となります。
申し遅れました、耳鳴りは左です。右が虚で左が実となります。
左が耳鳴り

耳鳴りは腎虚として、奇経は合谷ー申脈ではないかと辺りをつけたところ、左:合谷(大腸)Nー左:申脈(膀胱)Sで脉締

さて、ここで、奇経のルールにのっとり、陽経は子午で陰経に変換します。
N:合谷→大腸経→腎経
S:申脈→膀胱経→肺経
ここでもうひとつのルールが。
NがSの子経である場合、N経が虚、Sの相克経が実となります。
この場合、腎は肺の子経です。腎の母経である肺の相克は心と脾です。

これで本治法は腎虚心脾実証右から、という証になります。
いえ、なりません(どっちやねん。
合谷ー申脈という奇経では、心経か心包経かの区別はつかないのです。そこで心経の神門と心包経の大陵、もしくは腹氣鍼診断®️で用いる巨闕(心の募穴)と膻中(心包の募穴)を指鍼して、どちらがより脉締するかによって心か心包かを判断します。
実は「アキイラジ右全合」のイの下に「包」と添え書きがありました。
つまり正しい証は
「腎虚心包脾実証右から」となります。
難経六十九難により本治法は
1:腎を補う(陰谷)右
2:肺を補う(尺谷)右
3:心包を瀉す(曲沢)左
4:脾を瀉す(陰陵線)左
となります。
本治法が終わった後は陽経の処理、左の合谷と申脈を軽く瀉します。
そして標治法ですが、この患者さん肩こりがひどかったそうです。伺ったところサッカー歴が長いそうです。サッカーといえば頚椎捻挫のメッカ(違。それが耳鳴りに全く影響を及ぼしていないとは考えられません。
氣鍼医術ならではの督脈病症として、大椎の上下に氣鍼、もしくは氣刺鍼を行ったところ、本治法でも殆ど消失していた耳鳴りが、さらに無くなったとのことです。
以上、ステロイドを飲み続けても治らなかった耳鳴りの患者さん、毎日のように前を通っていたという漢医堂に、意を決して足を踏み入れられたとのことです。
治す手段があるということをもっと早く患者さんにわかっていただける努力をするのも治療家の役目ですね。
最後までお読みくださりありがとうございます
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