名人芸に再現性はあるか

手作り製品って妙にありがたがられるとこあるじゃないですか。
確かに、街のケーキ屋さんが人気に乗じてデパ地下に出店したりすると、覿面に味が落ちるって珍しくないですよね。
なぜ味が落ちるのか

生産量が増えて仕事が雑になる

増えた生産量に対応するために手作業だったものを機械化する

機械化ダメ、手作りマンセー
となっているようですが。
が。
とある神戸在住自称世界一の靴職人さんの発言です、手作業ってブレやムラがあるけど、均一に作れる機械化ってすごいじゃん、逆に、機械で作ったように均一な手作業ってすごいよね、と。
手作業だからひとつひとつ違います、ってのを売りにしているということは、ムラがある、再現性がない、と言ってるのと同じです。

医学は、1人の人の症例だけで、その病気の治し方を標準化してはいけないというのが鉄則です。エビデンスベースドメディスンと言われますが、これまでに多くの臨床試験を重ねて、どんな人でもおおよそこのくらいの効果があるということが言えて初めて標準治療になります。医療を提供するものとしてエビデンスはとても重要で、もちろん診療はエビデンスに基いて行います。
でも、在宅治療では、生物学的な部分だけでなく、社会学的な背景が実に様々で、その背景因子によって意思決定の分岐路がたくさんあります。その人をよく見て理解し、その人に合った医療を探していく中で、エビデンスとしての正しさというよりは、その瞬間にあった正しさがあるのだなと実感しています。

再現性とは、同じ結果を出せる、ということです。治療において結果とは、病症が軽減もしくは霧散すること、同じ結果を出すためにやるべきことをコントロールできることが再現性です。
再現すべき結果は病症の改善ですが、改善できているかどうかを客観的に判断する手段が脉締です。
氣鍼医術の治療は、脉締という目標到達地点があるからこそ、再現性があるのです。
何十年のキャリアの経験則による名人芸とは異なります。逆に言えば、何十年のキャリアの名人芸と同じものを量産できるのが氣鍼医術です。
初出:20190105
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