見学感想)奇経診断は平鍼で

氣鍼医術を学んで2年目のOさんに、漢医堂での治療見学をレポートしていただきました。

1️⃣40代女性

主訴は眩暈。右腕のだるさ。

指診断にて虚実を確認、右の陥谷-後渓の同側に平鍼を置くと脉が大きくなりました。平鍼を左右の陥谷につけかえても締まらず、左右の臨泣につけかえても締まらない。

右の臨泣-後渓につけかえた上に平鍼の追加(※貼付磁石の数を増やすことで脉がはっきりする)をしたら、ようやく脉が締まりました。心虚肺腎実の証がでました。

仕事が忙しかったそうで、体力がいつもより落ちているご様子でした。

座位で督脈上に鍼を置き、脉を確認しながら(※後方検脉)反応のある場所を上から下へ移動、痛みのある場所へ補中の瀉を行います。前屈をしてもらい、痛みが軽減していることを確認。

玄庵先生によると、背中の曲がりはパニック症状の原因となっていることが多いとのことです。

三陰交に左右5壮のお灸をしてから、メナソで治療が終わりました。

治療前は角(カド)がある硬い脉でしたが、治療後にはとても柔らかい脉となっていました。メナソをすると脉は一層柔らかくなり、艶が出ます。

(この日は、患者様が重なり私の認識不足、勉強不足もあり、先生の治療内容をしっかりと把握できておらず、大変貴重な時間を有効に使うことができませんでした。申し訳ありません)

2️⃣心虚肺腎実の男性

平鍼にて(臨泣-後渓)が締まっていましたが(※奇経診断)、玄庵先生が確認すると締まらない。左陥谷-後渓で締まると判断されましたが、治療を進めて再度確認したら締まらない。もう一度(臨泣-後渓)に平鍼をおいて確認したら、脉は締まりました。

 

こうやって何度も何度も脉を確認することにより、正確な証を導く事ができます。

理論・ロジックのみで治療することは、ある意味難しいのかもしれません。結局は目に見えない身体の状態を表してくれる『脉』の状態がいかに大切か、患者様を診て確信する毎日です。

※磁石の平鍼を使う奇経診断は、押手のように個人の手技の腕のほどに結果が左右されることがありません。客観的で正確な診断結果をもたらしてくれます。もちろん脉を診る力は必要ですが。

3️⃣反関の脉の女性

反関の脉とは

橈骨動脈が手関節の背側にめぐっており、寸口の位置の背側に脉の拍動を触れることができます。寸口の位置では、脉の拍動を感知することができません。このような特異な脈を反関の脉というそうです。

反関の脉

古典にも記されております。

〈原文〉「脈不行于寸口、由列缺絡入臂後、手陽明大腸經也。以其不正行于關上、故曰反關。必反其手而診之、乃可見也。」

貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございました。

最後までお読みくださりありがとうございます。

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