歩くことも出来なくなった座骨神経痛

72歳男性、10日前の昼から突然腰が痛み始めたという。左腰に激痛が走り、歩くこともできなくなって抱えられて整形外科に走ったとのこと。骨には特に異常はないという診断で、痛み止めと湿布をもらって帰り、その足で近くの鍼灸院に行って昨日までに4回の治療を受けたという。
「今日はまだ痛いのですか」
「少しは楽になっているんですが鈍痛がまだあって身体を前に倒すと左腰と左尻と左太ももの前が痛みます」

子午診断

  
左腰足の痛みに、胆―心を試みたが今一つ。
胃―心包で脉締。次に肝経の太衝で脉締。 

奇経診断

  
左の陥谷―左後谿で脉締。

   
心包虚肺腎実症右から合水穴。
座位で本治法まで行なったところ動作痛は9割方なくなっていた。自発的な鈍痛が少し残っているという。

実は座位でお脈拝見した段階で「弦脉」を診ていたので、これはただの腰痛ではないな、と思っていたが左腰部の痛み方がどうも動作痛をともなわない場所が存在している事を問診中に気がついてもいたのである。
ただ前屈で左臀部と左大腿にかけて重み、痛みが走るのは坐骨神経痛だろうとは診ていた。つまり元からの腰からの坐骨神経痛と左腎の結石らしき激痛が同時に発症したと考えていいということになる。
その証拠に座位で治療をしたが鈍痛が残ったので、仰臥位にして腹気鍼®︎をすると特に気海穴に弦を帯びた邪が残って診えた。再度心包虚を補い腎実に対して照海付近の圧痛部位に対し、2番鍼で雀琢瀉法をくわえて弦脉を治めた。そうすると脉状は柔らかく艶とうるおいが出たので確信を以って「腰の鈍痛がなくなったでしょう」と言うと「なんか痛みが楽です」という答え。
付き添いの方も含めて、これはただの腰痛ではありませんよ、腎臓の痛みです、と説明をして、坐骨神経痛も併発してますから念のため明日も治療していただくことを提言。
2回目の治療。
1人で運転をして来院。痛みは全くない、とのこと。昨年は急性膵炎で入院もしているため、健康に不安を感じるのでこれからメンテナンスに通いますと言って安心顔で帰って行った。
3回目の治療。 
調子がよかったのでクーラーのきいた居酒屋でお酒が少し過ぎたとのこと。今日は朝から左腰を中心に鈍痛が再発。尿の出具合も悪い。階段の上がり降りに両足の太ももの前が重くなってきて足の上りが悪い。

腹気鍼診断®︎

  
心包虚肺腎実証  

奇経診断

  
左陥谷―左後谿で脉締確認
すこしは締まるが思ったほどきゅっとならないうえにやや数脈がある。これは風邪のときによく出る脉状で、「騒々しい」脉がどうしても出てくるので通常よりは頸をかしげることもあるのだ。経金穴を使用すると脉締に向かうので、そこを元に判断すればよいのである。
帰りはスッキリ。でも週1回は続ける予定ですとのこと。もっと楽になりますよと帰した。
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